宿泊記
今回初めて鬼怒川という地を訪れましたが、そこは想像以上に、雄大な山々に囲まれた「自然の特等席」のような場所でした。

駅に降り立った瞬間に感じる、キリッと澄んだ冬の空気。見上げれば、どこまでも続く山々の稜線が視界いっぱいに広がり、都会の喧騒から切り離された別世界に来たことを実感させてくれます。

鬼怒川にはお昼頃に着きました。

宿へ向かう前に、まずは腹ごしらえ。冬の鬼怒川の冷たい風に吹かれていると、自然と体が温かいものを欲してきます。 駅前を散策していると、どこからか出汁のいい香りが漂ってきました。吸い寄せられるように入ったレストランで、迷わず注文したのは「鍋焼きうどん」です。
鍋焼きうどんで体がポカポカに温まった後は、やはり甘いものが恋しくなるもの。「食事の後はデザートに限る!」ということで、鬼怒川温泉駅のすぐ目の前にある超有名店**「バウムクーヘン工房 はちや(HACHIYA)」**へ足を運びました。

ここは、鬼怒川を訪れる観光客が必ずと言っていいほど立ち寄る、まさに「スイーツの聖地」とも呼べる場所です。


このお店の最大の魅力は、なんといっても「出来立て」をその場でいただけること。 工房が併設されているため、運ばれてきたバウムクーヘンからは、まだほんのりと温かい熱気が伝わってきます。オーブンから出て間もない生地は、指で触れると吸い付くようにしっとりとしていて、私たちが普段スーパーやコンビニで目にするものとは、もはや「別の食べ物」と言っても過言ではありません。
お腹も心も満たされたところで、いよいよ今回の旅のメインディッシュ、「界 鬼怒川」へと向かいます。
今回は東京から電車に揺られての旅だったので、鬼怒川温泉駅からはタクシーを使わず、あえて歩きで宿を目指すことにしました。
12月の空気を感じながらの「20分のお散歩」
駅から宿までは、ゆっくり歩いて約30分程度。 12月のキリッとした冷気が頬をかすめますが、先ほど食べた「鍋焼きうどん」と「焼きたてバウムクーヘン」のおかげで、体の中はポカポカ。
道中は、冬の装いを見せる鬼怒川の街並みや、遠くにそびえる力強い山々を眺めながらの散策です。観光地の賑やかな雰囲気から、歩みを進めるごとに少しずつ静寂が増していく過程は、日常から非日常へとスイッチが切り替わっていくようで、30分という時間もちょうど良いプロローグになりました。
鬼怒川を満喫
12時ギリギリまで「界 鬼怒川」の贅沢な空間を堪能し、心身ともにフルチャージされた私たち。せっかく初めて鬼怒川温泉にやってきたのですから、そのまま帰るのはもったいない!ということで、宿をチェックアウトした足で、鬼怒川屈指の観光名所へと向かいました。
目的地は、宿からもほど近い「鬼怒川温泉ロープウェイ」です。



地図を確認してみると、ロープウェイの乗り場から駅前までは、歩くとおそらく1時間程度はかかってしまう距離。 12月の澄んだ空気の中をお散歩するのも素敵ですが、さすがに宿の往復や山頂散策で歩き回った足には、1時間の道のりは少々ハードです。
「どうしようか?」と相談していたところ、ちょうど良くロープウェイ乗り場から駅前まで直行できるバスが出ているのを発見! 迷わず飛び乗ると、車窓からは先ほど自分たちの足で歩いた景色が、また違った角度で流れていきます。重い荷物を抱えた旅人にとって、このバスの存在はまさに「砂漠のオアシス」のような有り難さでした。
旅の締めくくり。お昼過ぎの「最後のご馳走」

バスに揺られること数分、無事に鬼怒川駅前へ到着。 時刻はお昼を少し過ぎた頃。朝食をあんなにたっぷり頂いたはずなのに、山頂の冷たい空気に触れたせいか、お腹はすっかり「ランチタイム」を告げていました。
駅前の活気あるエリアで最後のお昼ごはんをいただくことにしました。 お昼時を少し回っていたおかげで、店内はどこか落ち着いた雰囲気でした。



お昼ごはんを終えて駅前の広場に向かうと、そこには今回の旅のフィナーレを飾るにふさわしい、SL大樹が、まさに出発しようとしている瞬間に立ち会うことができたのです!

電車までまだ時間があったため、有名な橋にも最後に行きました。

行きはスマートに「リバティ」で、帰りは話題の「スペーシア X」
今回の旅は、宿や観光だけでなく「移動」も楽しみの一つでした。実は、行きと帰りで異なる特急列車を予約するという、ちょっとした乗り鉄気分も味わってきたんです。
行きは、洗練されたデザインがかっこいい「リバティ」を選択。そして帰りは、2023年にデビューしたばかりの最新型特急「スペーシア X」を予約していました。
平日ということもあってか、どちらの車内も驚くほどガラガラ。静かな車内で、窓の外に流れる栃木の冬景色を独り占めしているような、優雅な移動時間になりました。特に帰りのスペーシア Xは、その白く美しい車体と、鹿沼組子をモチーフにした窓枠がとてもおしゃれで、乗る前からテンションが上がります。
憧れの「雲の上の特等席」
車内を少し覗いてみて驚いたのですが、スペーシア Xには、私たちが座ったレギュラーシート以外にも、とんでもなく豪華な席が存在していました。

最新型特急「スペーシア X」の豪華な個室やカフェカウンターに目を奪われつつも、今回私たちが予約したのは一番リーズナブルな「レギュラーシート」。
「一番安い席」なんて呼ぶのが申し訳ないほど、シートはふかふかで座り心地が良く、足元も広々。コンセントもしっかり完備されていて、移動時間はこれ以上ないほど快適だったんです。

鬼怒川温泉、また「冬」に戻ってきたい場所
今回の旅の目的は、あくまで「界 鬼怒川に泊まること」でした。 正直に言えば、最初は宿のことばかり考えていて、鬼怒川という場所自体にはそこまで強いこだわりがあったわけではありません。
けれど、実際にこの土地に降り立ち、12月の澄んだ空気に触れ、山々の懐に抱かれた2日間を過ごしてみて、すっかりこの街の虜になってしまいました。
- キーンと冷えた冬の朝、顔に当たる冷たい風と温泉の熱さのコントラスト。
- 駅から宿まで、息を切らして歩いたからこそ出会えた景色。
- 街を歩けば漂ってくる、出汁の香りとバウムクーヘンの甘い匂い。
「あぁ、いい場所だな」
心からそう思えたのは、きっと「界 鬼怒川」という素晴らしい宿と、この鬼怒川の豊かな自然が、最高の形で溶け合っていたからだと思います。

